
浴槽塗装では溶剤型塗料を使用するため、臭気対策・安全衛生・換気設計が欠かせません。臭いを抑え、作業者と居住者双方の安全を守ることが、施工の成功につながります。本記事ではプロが実践する安全管理と換気の工夫を解説します。
浴槽塗装で発生する臭気の正体
2液ウレタンなどの浴槽塗料は、硬化反応時に有機溶剤を放出します。この臭気は人体への刺激が強く、長時間吸引すると頭痛・吐き気・倦怠感を引き起こすこともあります。
代表的な溶剤の例
- トルエン・キシレン
- MEK(メチルエチルケトン)
- IPA(イソプロピルアルコール)
安全衛生対策
作業者自身の健康を守るため、以下の装備が必須です。
- 有機ガス用防毒マスク
- 耐溶剤手袋・ゴーグル
- 不浸透性の作業服
- 耳栓(コンプレッサー騒音対策)
換気設計の基本
浴室は密閉空間のため、効率的に臭気を外に排出する設計が必要です。
負圧管理
排気を強めにして室外へ
排気を強めにして室外へ
換気ダクト
窓や換気扇に接続し臭気を誘導
窓や換気扇に接続し臭気を誘導
送風機
空気を循環させ乾燥促進
空気を循環させ乾燥促進
フィルター
埃や塵を防ぎつつ排気
埃や塵を防ぎつつ排気
近隣・居住者への配慮
賃貸住宅やホテルでは、臭気が廊下や隣室に漏れるとクレームの原因になります。そのため以下の対応が求められます。
- 事前に管理会社・フロントへ説明
- 養生で換気経路を限定
- 施工中は窓を閉め切り、外部ダクトで排気
- 消臭スプレーや活性炭フィルターを併用
よくある失敗とリカバリー
臭気管理の失敗例
- 換気不足 → 臭気が部屋全体に広がる → ダクト設置で解決
- マスク不使用 → 頭痛・体調不良 → 防毒マスク着用必須
- 近隣クレーム → 事前説明不足 → 工程前に周知徹底

DIYでの注意点
DIYで溶剤型塗料を扱う場合は特に注意が必要です。狭い浴室で換気が不十分だと健康被害のリスクが高まります。可能な限り水性塗料を選ぶ、もしくはプロに依頼するのが安心です。
まとめ
浴槽塗装の臭気対策と安全衛生管理は、施工品質と同じくらい重要です。防毒マスクや換気設計を徹底し、居住者や近隣への配慮を怠らないことが信頼につながります。
交換よりコストを抑えて行えるバスタブ塗装だからこそ、安全管理を徹底してこそ真のリフォーム成功といえます。
